今回ご紹介する絶版本は、「手技整形学」国分壯 著(新星出版社)です。
この本には一般的な整形外科的知識だけではなく、手技療法における多くの検査法から見立て法(診断法)・手技による施術方法まで、こと細かく記載されています。大変古い本ですが、1958年初版本が出版され、以降2002年まで約半世紀近くに渡り販売されていたベストセラーの医学書です。
近年では手技療法・自然療法の世界でも「科学的根拠」や「エビデンスの追究」などの言葉がよく聞かれ、何でもエビデンスがある物だけが素晴らしいものとの風潮があります。その結果、伝統医療の多くが失われつつあります。東洋医学や伝統医学と言われているものは、理論よりも先に長年の経験の積み重ねから出来上がってきたものも多くあり、それらは科学が発達するはるか前から先人たちが長年の経験から確立させてきた素晴らしいものです(柔道整復も日本の伝統医療です)。この本はそれら現代では失われつつある伝統医療の多くが書かれており、大変興味深い内容となっています。
このような本が無くなっていくことは大変残念に思います。