絶版の医学書⑥

今回ご紹介する本は、「整骨外来ハンドブック」長谷愼一 著(エンタプライズ)です。こちらの本は、我々柔道整復師のような様々な患者・症例を扱う方には、是非読んでもらいたい1冊です。

柔道整復師は医療系の国家資格なので、整形外科学や一般臨床医学などをはじめ基礎医学を必ず勉強します。それは、あらゆる症状の患者さんが来院される中で、専門としている「骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷」の知識だけでは足りないからです。他の医療系国家資格でも同じで、専門とする分野以外は知らないでは困りますので、一通りの一般医学も学びます。しかし実際の臨床現場では、教科書を勉強するだけでは分からない患者さんや症例に遭遇することがあります。そのような中で一見同じ症状でも、我々柔道整復師が扱うべきではないものや、命に係わる病気などが隠れていることも稀にではありますがあります。

この本には、柔道整復師である著者が現場で遭遇した鑑別が難しい患者さんの診断法や、わずかな徴候を見逃さないための検査法ポイントなどが、失敗例も含め実際の症例をもとに記載されています。

このようなとても重要で為になる本がなぜ絶版になってしまうのか不思議です。おそらく国家資格をお持ちの方でも、内容的には知らないことが多く掲載されているかと思います。同じ腰痛や筋肉痛・関節痛などの体の痛みでも、我々が扱ってはいけない、もしくは治療出来ないものもあります。適切な施術を行うためにも、また患者さんのためにも、そのような知識は治療の技術以上に大切だと思っています。