治療家としての20年間で学んだこと⑥

もともとカイロプラクティックからこの業界に入り、10年以上が経過していました。その間ずっと疑問に思っていたことがありました。その疑問とは、

1、「カイロプラクティックでは体(特に背骨や骨盤)のゆがみや動きの悪い関節を矯正して治療するが、そもそもなぜ体はゆがむのか、なぜ背骨や骨盤の関節の動きが悪くなるのか」

2、「キネシオテーピング法を使うと目的の筋肉を最良の状態に回復させるので、機能が回復し症状も軽減させることができるが、同じように治療してもあまり効かない、もしくは全く効かないことがあるのはなぜか」

この2つの疑問はかなり前から解決出来ずにいました。

 

1の「体(背骨)はなぜゆがむか」に関しては、カイロプラクティックでは治療(矯正)のテクニックは多数あるのに、いくら調べても「なぜ」の答えがみつかりませんでした。どの専門書を読んでみても答えはありません。ガンステッドテクニック(ディバーシファイドと並ぶカイロの2大テクニックの1つ)のテキストには、「ゆがみがあれば何も考えずただそこだけを矯正すればよい」と書かれています。なぜそうなったかは言及しようとはしません。他のテクニックのテキストを読んでも、「なぜ」は書かれておらず、検査法と治療法だけで構成されているのがカイロプラクティックのテクニックです(S.O.Tテクニックやアクティベーターテクニック、内臓反射テクニック、オステオパシーなどでは中枢神経系の問題と解説されているものもありましたが、これらの説明ではあまりに抽象的すぎて決定打にはなりません)。それだど良くなる患者となかなか良くならない患者が出てくると思います。なぜそうなったか分からないわけなので。だからカイロプラクティックには多くのテクニック(治療法)ができているのではないかと思われます。

実際カイロプラクティックの治療をしていると、確かに背骨の関節を矯正して良くなる方はいますが、同じ患者さんは大体同じ個所にゆがみ(矯正する箇所)が発生しやすいのです。この「なぜ」が解決しないと、ずっと治療していないとまた戻るのではないかと思います。また、「なぜ背骨はゆがむか」の答えが分からなければ、自分自身何を治療して治そうとしているかもあいまいになってしまいます。

 

2の「キネシオテーピング法を正しく行っても効く場合と効かない場合があるのはぜか?」、実は1の疑問と2の疑問を突き詰めていくと、最終的には同じ所に答えが見えてくるのですが、その当時10年程度の経験ではまだ完全には分かりませんでした。

この2つの疑問が10年以上経っても解決できなかったため、カイロプラクティックの不十分さを感じるようになってきました。

 ~12回連載・⑦に続く~