治療家としての20年間で学んだこと⑦

カイロプラクティックの不十分さを感じるようになった時に出会ったのが、「マッケンジー法(Mechanical Diagnosis and Therapy:MDT)」という最新の治療法です。カイロの学生時代に専門書を購入し読んだことがあったので知ってはいましたが、本格的に勉強しようと思い「国際マッケンジー協会日本支部」の講習会に参加することにいたしました。

 

マッケンジー法はカイロプラクティックと同じく脊柱(背骨)や関節を対象とした力学的なアプローチを行う治療法ですが、カイロとは全く違った方法でのアプローチを行います。マッケンジー法の講習会は医療系有資格者しか受講できないため、ここでも柔道整復師の資格を取得し本当に良かったと思いました。様々なセミナーや勉強会に参加してきましたが、このマッケンジー法の講習会が一番大変だった気がします。受講生の半分以上は理学療法士や医師(整形外科医)で、その他は私のような柔道整復師や他の医療有資格者でした。内容もかなりハードで覚えることが多く、事前に予習をしてから来るようにと言われたのは初めてでした。

「マッケンジー法」は体の症状の原因を力学的動作分析・検査により探り、主に脊椎(背骨)や椎間板の整復動作を行うことにより改善・維持・再発予防を行う治療法です。体幹部(腰・背中・頚)は背骨を対象としていますが、四肢の症状の場合は他の関節を対象とする場合もあります。この治療法は体の状態から改善させる方向(特に背骨)を見つけ出し、強制的に整復させていきます。やや乱暴な言い方ですが、強引に治してしまうというイメージです。外からの刺激(施術者による治療)では限界を感じる場合でも、患者自身で体の整復・維持が可能なため、再発予防にも最適と思われます。

 

マッケンジー法の講習会は「パートA」から「パートD」まであり、それぞれ4日間連続で朝早くから夜まで続きます。その他に「パートE」という四肢(手足)の応用コースもあります。「4日間朝から晩まで」ということは平日に休みを取って行かなければならず、毎回仕事の休みを取って受講してきました。なかなか大変だったのを覚えています。

全てを受講すると認定試験を受験することができます。この試験は筆記試験と実技試験から成り、それぞれ基準をクリアすると「Credentialed,MDTという世界共通の国際マッケンジー協会認定セラピストの資格を取得できます。

 

ただこの試験は大変難しく、私も1回目の試験では合格することが出来ませんでした。筆記試験は合格点に達していましたが、実技試験で落としてしまいました。筆記と実技の両方をクリアしなければ合格とはならないのです。試験当日に他の受験者の方々と情報交換をいたしましたが、私が話した限りでは合格した方はいないようでした。中にはもう何回も受験されている方もいました。試験を受ける前にはこんなに難しい試験だとは思っていませんでしたので、まさかここに来て落ちるとは考えてもいませんでした。

2回目の試験に向けてもう一度学科の勉強と実技試験の練習会にも参加し、特に落とした実技をもう一度復習いたしました。おかげで2回目の認定試験には無事合格し、「Credentialed,MDTの資格を取得することができました。

~12回連載・⑧に続く~